【目次】
イタリア中部の丘の上にある、小さくも美しい、「静寂の町」の異名を持つコルトーナ。
大都市からのアクセスもやや不便なコルトーナですが、コルトーナに足を運んだからには、ぜひ訪問をおすすめしたい、教会やパノラマスポットなどの観光地をご紹介します。
教区博物館
教区博物館は、非常に小さいミュージアムですが、フラ・アンジェリコの『受胎告知』を所蔵していることで有名です。
この『受胎告知』を見るためだけに、コルトーナに足を運ぶ観光客もいるくらいです。
こちらがその『受胎告知』。
フラ・アンジェリコの『受胎告知』と言えば、フィレンツェのサン・マルコ修道院の、階段上に描かれた『受胎告知』が、非常に有名で、観光客からの人気も高いです。
フィレンツェの『受胎告知』に惹きつけられた人が、コルトーナの『受胎告知』も見たい!と、この教区博物館まで足を運びます。
フィレンツェの『受胎告知』は、フラ・アンジェリコの最盛期の作品ですが、コルトーナの『受胎告知』はフラ・アンジェリコの初期作品のため、それなりに画風の違いがあります。
それでも、これはフラ・アンジェリコ作品の不思議な魅力なのですが、天使のような人だったと言われる、敬虔なフラ・アンジェリコの清らかな人柄が、画面に表われているという点では、どちらの作品も共通していると思います。
他にも、コルトーナ出身の初期ルネサンス期の画家、ルカ・シニョレッリの『十字架降架』も、味わい深い作品です。
この二作品を見るだけでも、入る価値がある美術館です。
エトルリア・アカデミー博物館
エトルリア・アカデミー博物館は、コルトーナでは略称で「MAEC」と呼ばれています。
コルトーナは、イタリア中部の丘陵都市に多い、古代ローマ以前の先住民エトルリア人が作った町です。
そのエトルリア遺跡を中心に展示していますが、なぜか後世の絵画もあります。
入場料が€10と結構高い博物館ですが、その分、内部はかなり立派です。
私が足を運んだ時は、教区博物館との共通券€13もありました。公式サイトには、この共通券に関する記述が見当たらないので、現地の切符売り場で確認してください。
この博物館は立派なのですが、エトルリア人について予備知識がなければ、ちんぷんかんぷんの可能性もあります。エトルリア人―ローマの先住民族起源・文明・言語 (文庫クセジュ)を読んでおけば、じっくり楽しめると思います。
通称コルトーナの至宝、エトルリア芸術の『ブロンズの大燭台』は、下知識無しでも楽しめますっ!地球の歩き方には「楽しげなモチーフ」とオブラートに包んだ表現をされていますが、どう楽しげなのかは、ぜひ実物を見て確認してみてください(笑)。
2014年3月は工事中で、内部鑑賞はできましたが、ブーという工事の音が館内に鳴り響いていて、絵画部門は鑑賞できない部屋が多かったです。現在では、工事が終わって、美しくなっている可能性もありますね
イタリア語: Museo dell’Accademia Etrusca e della Città di Cortona
公式サイト:http://www.cortonamaec.org/
中世の家のある通り(ヴィーコロ・イアンネッリ)
コルトーナで、ぜひ鑑賞をおすすめしたいのが、中世の家が建ち並ぶ、ヴィーコロ・イアンネッリという通りです。
張り出した2階部分が特徴の、中世の古い家が数軒並んでいます。2階部分がせり出している理由は、1階の床面積で税金が決定されるため、税金対策の工夫だとも言われます。
中世には、このような家が、トスカーナ地方では多く作られたらしいですが、このように残っているのは、非常に珍しいそうです。
少し奥まった場所にあるため、人通りも少なく、風情たっぷりで、コルトーナの中でも最もコルトーナっぽい通りだと思いました。
この中世の家が並ぶ通りは、教区博物館前を下って行った場所にありますが、ちょっとわかりづらかったです。
我々は教区博物館近くをうろうろした結果、「Via Zefferini」という通りを下り、右折してジェズ通りに出て、その突き当りにこの中世の家を見つけました。もっとスムーズな行き方があるのかなあ。
ちなみに、この中世の家、今でも民家として使われているものもあるようなので、静かに見学しましょう。
サンタ・マルゲリータ広場
サンタ・マルゲリータ広場は、パノラマスポットの多いコルトーナの中で、おそらく最も高台にある、最大のパノラマスポット。天気がよければトラジメーノ湖まで見渡せます。
近くには、コルトーナの守護聖人サンタ・マルゲリータを祀った教会があります。
バスターミナルのあるガリバルディ広場あたりから、ぐるっと城壁に沿って右回りに、結構新しいモザイクが点々と飾られたサンタ・マルゲリータ通りを上っていくのがオーソドックな行き方。
このサンタ・マルゲリータ通りからの眺めもよいですが、何せ、結構な坂なので、上るなら、ダンコたる決意を持って上りましょう。
旧市街の中から行くなら、旧市街の中を突っ切って行く方法もあります。旧市街の中から行く方がショートカットになりますが、坂の険しさは同じくらいなのと、(私のように)地図に弱いと、ちょっと道がわかりにくいと思います。
広場にたどりつくと、目の前の教会が視界を遮り、「何だ。パノラマってこの程度?」と思うかもしれませんが、後方にさらに高くなっている空地みたいな場所があって(真ん中にエトルリア文字のレプリカみたいな石がある)、そこからの眺めが絶景です。
(マップマーカーはサンタ・マルゲリータ教会につけてあります)
サン・フランチェスコ教会
サン・フランチェスコ教会は、コルトーナの坂道が続く路地の中にあり、周辺の町並みの雰囲気も素敵です。
教会前は、絶景ポイントになっていて、トラメジーノ湖がきれいに見えます。トラメジーノ湖の眺めは、サンタ・マルゲリータ広場より、こちらの方がよく見えます。
教会内部には、コルトーナ出身のバロック期の画家、ピエトロ・ダ・コルトーナの『受胎告知』があります。
サンタ・マリア・ヌオヴァ教会
コルトーナの、鉄道駅と旧市街の途中には、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ・アル・カルチナイオ教会という丸屋根の美しい教会がありますが、コルトーナ訪問中は工事中で閉まっていたので行きませんでした。
その代りに、ちょうど旧市街を挟んだ反対側に、この教会と似ているサンタ・マリア・ヌオヴァ教会がある、とレジデンスのオーナーに教えてもらったので行ってきました!
レプッブリカ広場から、北の方にDardano通りを上り、Colonia門を出て、そのまま田舎道をゆるやかに5分弱ほど降りていった場所にあります。インフォメーションでもらえる地図に載っています。
何とヴァザーリ設計の、ルネサンス期の教会だそうです。何にもない田舎道に、ぽつんとある赤い丸屋根がかわいらしかったです。
内部は入れませんが、中が見えるように扉が開けられて、ガラス張りになっていました。コインを入れると、内部が点灯されました。
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ・アル・カルチナイオ教会
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ・アル・カルチナイオ教会は、コルトーナ市街地から下った場所にある、ルネサンス期の丸いクーポラが美しい教会です。
私がコルトーナに行ったときは、工事中で閉まっていると宿泊したオーナーに教えてもらったので、上から外観を見るだけで、近くまで行きませんでした。
旧市街からの距離は1㎞ちょっとくらいです。旧市街から行く場合は下りになるので、30分弱くらいで歩いて行けると思います。帰りは、かなり勾配のある坂道なので、ちょっとしんどいかもしれません。
駅と旧市街を往復するバスが、この教会近くのバス停にも停まります。旧市街から行くときは歩いて、帰りはバスを使ってもいいのかな、と思います。
バスの本数は1時間に一本程度しかないので、バスを利用する場合は、時間を確認しておきましょう。
コルトーナを日帰り訪問する場合は、最後にこの教会まで歩いて行って、鑑賞後に下りのバスに乗って駅まで帰れば効率がいいかな、と思いました。
ただ、バスを利用する場合は、バス停で、バスに乗るという意思表示をオーバーに示さないと、バスが走り去ってしまいそうな感じでした。特に、そのまま他の町へ帰る場合は、しっかりバスを停めてください。
- イタリア旅行マニアで今まで9回イタリアに足を運んでいます。何度でもイタリアに行く自分のために、イタリア旅行のマニュアルを作成したのがこのサイトです。
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