【目次】
フェラーラ最大の見どころは、フェラーラのシンボルでもあるエステ家の居城「エステンセ城」です。
ですが、実は私がフェラーラで一番楽しみにしていたのは、「スキファノイア宮殿(Palazzo Schifanoia) 」。
「12ヶ月の間」と呼ばれる、フレスコ画が描かれた部屋が有名です。
このフレスコ画は、ギリシャ神話を題材に、1年間の各月、12か月がテーマになっています。
残念なことに、半分近くの月の絵が欠損してしまっているのですが、逆に半分以上は残っている!と、前向きに捉えましょう!
残されているフレスコ画には、ルネサンス期の占星術への興味が表現されていて、神秘的な雰囲気と、厳かなキリスト教絵画とは違う、のびやかな魅力があります。
スキファノイア宮殿はどこにあるの?名前の由来は?
スキファノイア宮殿は、フェラーラ旧市街の東の端にあります。
スキファノイアというのは、「退屈しのぎ」という意味で、エステ家の人々が、ヒマを持て余したときに、娯楽のために通っていた別荘だそうです。
そういえば、マントヴァのゴンサーガ家も、政務の中心となるドゥカーレ宮殿以外に、町の外れに、別荘としてテ離宮を建てています。
スキファノイア宮殿も、テ離宮も、オフ時間を過ごす場所として、あまり堅苦しさのない、ギリシャ神話モチーフの絵が描かれていることも共通していますね。
スキファノイア宮殿への行き方
スキファノイア宮殿は、町外れとは言っても、エステンセ城あたりからは、徒歩で15~20分程度です。
ですが、町の西にある鉄道駅から、東端のスキファノイア宮殿へは、やや距離があります。徒歩だと40分程度かかります。
駅から直接スキファノイア宮殿に行く場合は、バスを利用するのもおすすめで、1、9番バスが、スキファノイア宮殿の近くまで行きます。
フェラーラは旧市街内の交通規制が厳しく、バスはスキファノイア宮殿の目の前までは行きません。
自力で降車するのは難しいので、運転手さんに、降りるタイミングを教えてもらいましょう。
フェラーラでの市バスの乗り方は、こちらの記事もご参照くださいませ→フェラーラ駅から旧市街エステンセ城までのバスの乗り方
スキファノイア宮殿「12ヶ月の間」を図と画像で解説!
スキファノイア宮殿の、「12ヶ月の間」に描かれている各月の配置は、下の図のようになっています。
4面に、ちょうど3ヶ月ずつ描かれているのではなく、1月が描かれている壁から、2ヶ月→3ヶ月→4ヶ月→3ヶ月という数で描かれています。
ただし、図にある通り、1、2、10、11、12月の5ヶ月分の保存状態は極めて悪く、ほとんど欠けてしまっています。
鑑賞できるのは、3~9月の7か月分です。
3月
各月は、このように、絵が三段に分かれています。
一番上が神の世界、一番下が人間界、真ん中がその間にある、空の黄道12星座を描いています。
3月を統治する神は知恵と戦の女神アテナ(ローマ神話のミネルヴァ)。神々は、車に乗って凱旋する形で描かれます。
黄道十二星座は牡羊座です。
一番下は、絵の注文主である、エステ家のボルソ・デステの裁判業務と、狩りに出かける姿が描かれています。
3月を描いたのは、フランチェスコ・デル・コッサというフェラーラ派の画家です。
4月
上段:愛と美の女神アフロディーテ(ローマ神話のヴィーナス)の凱旋。多産の象徴であるウサギが一緒に描かれています。ちょっと見にくいですが、右上には、ボッティチェリの『春』にも描かれている三美神の姿も。
中段:牡牛座
下段:狩りから戻ってきたボルソ・デステ。上の方には、パリオ(競馬)を見物する姿も描かれています。
作者:フランチェスコ・デル・コッサ
3、4月の2か月が、最も保存状態がよい壁画です。
5月
上段:太陽、学問、医術、音楽の神アポロンの凱旋。右側におびただしい数で書かれている幼児は、何を意味しているのか詳細は不明ですが、有名な部分です。
中段:双子座
下段:農村の様子が描かれているが大半は欠損
作者:フランチェスコ・デル・コッサ
6月
上段:商業・旅の神ヘルメス(ローマ神話のマーキュリー)の凱旋
中段:蟹座。ザリガニみたいなカニですね。
下段:保存状態が悪いですが、ボルソ・デステが嘆願を聞いている図だそうです。奥には川岸の波止場。
作者:「Maestro dagli occhi spalancati」と呼ばれる無名画家?
7月
上段:家事と出産の女神ヘラ(ローマ神話のユノ)と、大地母神キュベレーの凱旋
中段:獅子座
下段:使者の集団を迎えるボルソ・デステ
作者:Maestro dagli occhi spalancati?
8月
上段:大地と農耕の女神デメテル(ローマ神話のケレス)の凱旋
中段:乙女座
下段:使者を迎えるボルソ・デステと、狩りに出かけるボルソ・デステ
作者:Maestro dell’AgostoかGherardo da Vicenza?
9月
上段:鍛冶の神ヘーパイストス(ローマ神話のウルカヌス)の凱旋。
中段:天秤座
下段:状態が悪いですが、観兵式のボルソ・デステ。奥の方には、葡萄の収穫が描かれています。
作者:フェラーラ派の画家エルコレ・ディ・ロベルティか「Maestro della Bilancia」と呼ばれる無名画家
補足
黄道12星座は、現在、私たちが星占いで使う星座とは、ひと月ずつずれています。
また、現地でもよくわからなかった情報は、スキファノイア宮殿のウィキペディアのイタリア語版を参考にまとめました。
スキファノイア宮殿に描かれた絵は、保存が難しいフレスコ画で、よく修復工事が行われるため、入場できないこともあります。
開館状況は、フェラーラの観光サイト「terra e acqua」などで確認して下さい。
スキファノイア宮殿鑑賞の所要時間はどのくらい?
これだけのフレスコ画が描かれていますので、ひとつずつゆっくり見ようと思うと、鑑賞時間は1時間くらいかかります。
かけ足で見学派は、30分くらいで鑑賞できます。
ちなみに私は、1時間半以上居座ってしまいました。
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