
イタリア旅行の防犯対策で一番力を入れたいのはスリ対策です。
ローマの日本大使館が3ヶ月ごとに公開する「海外安全対策情報」でも、大使館に届けられた被害報告の大半がスリ。
「イタリア旅行でスリに遭う確率はどのくらいか?」というと、私は9回のイタリア旅行で4回も狙われたことがあります。

ゾッとする数字…
ですが、きちんと対策していたおかげで、スリに4回狙われて何も取られたことはありません。
イタリアでのスリ被害は対策すれば防げます。私がスリに4戦4勝した対策をガッツリご紹介します!
イタリアのスリに対する6つの対策
イタリアのスリに対しては以下の6つの対策が有効です。
- 貴重品はインナーセキュリティに入れる
- 持ち歩き用の「捨て財布」を用意する
- 周囲の警戒を怠らない
- 話しかけてくる人には要警戒
- 現金・クレジットカードをしまう場所を分散する
- パスポートのコピーを取っておく
この6つの対策は、あとでそれぞれくわしく解説します。
その前に「イタリアで起こるスリの特徴」と、私が実際に遭いそうになった「スリの具体例」を紹介しますね。
イタリアで起きるスリの特徴
イタリアで起きるスリには、4つの特徴があります。
- 犯人は単独犯ではなくスリ集団が多い
- 混雑した狭い空間で起きやすい
- スーツケース等の荷物が多い時に狙われやすい
- スリが多いのは大都市
それぞれ解説していきます。
プロ(?)のスリ集団が多く手慣れている

イタリアのスリの特徴として、グループでの犯罪が多いことが挙げられます。
手口として多いのは、ターゲットの気を引く班と、貴重品を抜き取る班に分かれたチームプレー。
集団でターゲットを囲んでワーワー騒ぎ立て、ターゲットが「???」と戸惑っている間にスリを遂行するというパターンが典型的です。
犯行は計画的で手慣れていて「プロ」級。
スリ集団は若い少女グループのこともあり、男性グループの時もあります。性別混在しているグループはなぜか少ないですが、最近では10人以上の年齢・性別も混じったグループ犯罪もあるそうなので要注意!
混雑した狭い空間「バス」「地下鉄」「路地」が危険

スリが発生しやすい場所は、「混雑した狭い空間」。逃げやすければさらによし、と言ったところ。
具体的な危険エリアは以下の通りです。
- 市内バス・地下鉄の車内
- 駅に停車中の電車内
- 鉄道駅周辺
- 人が密集している観光地周辺
- 観光地近くの狭い路地
一番危険なのは、混雑した市内バス・地下鉄の車内ですね。
スリの犯人が、盗った後に次の停留所で降りて逃げやすいという条件を兼ね備えています!
スーツケースを持っている時に狙われやすい

スリに遭いやすい状況としては、スーツケースを持っている時が一番危ないです。
スリは、こちらの手がふさがっていて身動きが取りづらい状況を狙い打ちしてきます。

私が狙われた4回のうち2回はスーツケースを持っていた時!
スーツケースを持って移動している時は、スリに狙われるものだと思って、「周囲を見る」「後ろを振り返る」など警戒を徹底しましょう。
イタリアでスリが起きやすいのは大都市

イタリアでスリが起きやすいのは大都市です。
旅行者をターゲットにした犯罪が起きやすいのはローマ、ナポリ、パレルモ。

私もローマ、パレルモでスリに狙われた経験があります
この3都市に加えて、スリに関しては都市の規模が大きいミラノでの被害報告が多いです。ローマ・ナポリ・パレルモ・ミラノがスリに最大限の注意が必要な4都市ですね。
その他の観光都市でも、フィレンツェのドゥオモ広場近くの路地、ピサの斜塔に向かうバス、ヴェネツィアのヴァポレット内など、観光客が密集する場所はスリの危険地帯です。
私がイタリアでスリに狙われた4つの具体例
私がイタリア旅行中にスリに狙われたのは計4回です(すべて未遂)。
都市名 | 場所 | 犯人像 | |
---|---|---|---|
① | ローマ | テルミニ駅停車中の電車内 | 少女4人組 |
② | ローマ | フォロ・ロマーノ近くの路地 | 少女2人組 |
③ | ローマ | 地下鉄の車内 | 女性2人組 |
④ | パレルモ | 市内バスの車内 | 男性4人組 |
それぞれの状況をかんたんにまとめておきます。
ケース①

ローマのテルミニ駅で、フィウミチーノ空港へ向かう電車に乗り込んだ時、うしろから4人の少女が押してきてワーワー騒ぎました。やたらと体を触ってくる少女たちの手の動きを見ると、ショルダーバックのファスナーを開けようとしている!「スリだ!」と気づいたおかげで、少女たちを振り切って車両を移ることができました。
ケース②

ローマの地下鉄車内で、同行していた母が「妊婦だから席を譲ってくれ」と言われて席を立ちました。わざわざシニアの日本人女性に声をかけるのは変だなと警戒していると、近くに立っている別の女性が我々を見張っている!コロッセオで降りようとした時、妊婦だと言って座った女性が立ち上がってドアをふさいだので、冷静に別のドアから降りて何事もなく済みました。
ケース③

ローマのフォロ・ロマーノ近くの路地を歩いていると、段ボールで手のあたりを隠した少女2人が近づいてきました。段ボールを使って視界をさえぎりながらスリをするのは古典的な手口。「スリでしょ?」という顔でじっと目を合わせると、「サヨナラ〜」と日本語で言って去っていきました。日本人をターゲットにしていたのでしょう。
ケース④

パレルモの鉄道駅前から姉と二人で市内バスに乗ったところ、刻印機近くで男性4人組に囲まれて身体を押されました。パニックになりかけましたが姉のバックパックが開けられているのに気づき手で押さえると、スリ集団は諦めて次の停留所で降りていきました。この時はスーツケース+バックパックという、いかにも狙われそうな状況でした。

これら4つの具体例を「もっとくわしく知りたい」という方は、こちら2つの別記事も合わせてご覧ください
4回もスリに狙われた経験がありますが、しっかり対策を取っておいたおかげで一度もスリを成功させていません。4戦4勝!
私のヒヤリ体験を踏まえながら、イタリアでのスリ対策・予防法をくわしく解説していきます。
対策&予防法を具体的に!
イタリア旅行におけるスリ対策は、大きく分けて6つです。
- 貴重品はインナーセキュリティに入れる
- 持ち歩き用の「捨て財布」を用意する
- 周囲の警戒を怠らない
- 話しかけてくる人には要警戒
- 現金・クレジットカードをしまう場所を分散する
- パスポートのコピーを取っておく
それぞれくわしく紹介していきます!
貴重品はインナーセキュリティに入れればスリ不可能!

最初に紹介する対策は、「貴重品はインナーセキュリティに入れて洋服の下で持ち歩く」です。
洋服の下にあるものは、スリの達人でも盗るのはさすがに不可能ですからね。
海外旅行用のセキュリティー用インナーは、旅行グッズ店やオンラインでいろいろ見つかります。
タンクトップやキャミソール、ベストタイプ、ベルトタイプなど出ていますが、私が愛用しているのはこちら。

「服の下につけても動きにくくない」というのが一番の長所です。
「スカートスタイルにどうぞ」という感じの商品ですが、丈が短いのでパンツスタイルの時も気にならないですね。サイズはMとL。

チャック付きのポケットにパスポートは余裕で入ります。現金やクレジットカード類は、小さいサイズのジッパー付き袋を使って入れています。
インナーとして着用するので頻繁に洗いたいですが、夜に洗って干しておけば次の日には乾く素材なので便利!
インナーセキュリティの中は、100%に近い安全地帯!以下の物を入れておきましょう。
- パスポート(必要な時以外は取り出さない)
- 現金(高額紙幣)
- その日に使う予定のないクレジットカード
- 緊急連絡先をまとめたメモ
- パスポートのコピー
盗られた場合は諦めのつく「捨て財布」を持ち歩く

次に紹介したい対策は、捨て財布を用意することです。

「捨て財布」は私のオリジナル用語!特許が欲しい~(ムリです)
「捨て財布」とは、盗まれても頭の中でベートーヴェンの「運命」が鳴り響かないような、チープなお財布のこと!
大きな金額のお札は服の下にしまいますが、すぐ使う予定のお金は外に出ていないと不便です。
「捨て財布」の中に、その日の観光に使う金額(食費・交通費・入場料など)だけを入れます。予定にもよりますが、私の場合は€100以下が目安。
そして、この「捨て財布」は普通に取り出して使います。
たとえスリに目をつけられても、この「捨て財布」が持って行かれるだけです。
もちろん残念ではありますが、「かかったな!どうせソレは捨て財布!スリは元より覚悟の上ッ!」と、勝った気分になれるかもしれません(笑)。
「捨て財布」の中にはキャッシュカードやクレジットカードを安易に入れないようにしましょう。
旅程の都合上、どうしてもカード類を財布に入れなければならない場合は、しっかり周囲に気を付けましょうね!
Point
カード類が入っている時に財布を守れる自信がない人は、財布を入れたバッグの内ポケットを大きな安全ピンで留めてしまうという手もあります。
私が捨て財布として使用しているのは、手のひらサイズのミニ財布です。価格は1000円前後。オンライン購入しました。

パスポートより小さい!軽くて持ち歩きやすいので便利です。
↓ミニ財布は、楽天市場やアマゾンでいろいろ見つかります。リーズナブル価格で口コミが良いものを探してみてください!
周囲の警戒を怠らない・警戒モードを出す

3番目の対策は、いたってシンプル。周囲の警戒を怠らないこと。
スリは観光客の多い場所で待ち構えていて、そこにスリにとってのターゲットはたくさんいます。
その中で「カモ」にならないこと!周囲を警戒しているモードを出せば、狙われる確率は下がります。
私の4つの体験談から分かるように、イタリアのスリは「あきらめが早い」のが特徴。
「警戒されている」「気づかれた」と思ったら、無理に盗ろうとせずに次のターゲットを探します。

それほど強引でないのがイタリアのスリの良い所(?)ですね…
公共交通機関に乗ろうとする時は、特に集団のスリに狙われやすいタイミングです。
バスや電車に乗り込む時は、不審な人物に見張られていないか乗る直前まで周囲に気を配りましょう。
イタリアで話しかけられた時は警戒を

イタリア旅行中に現地の人に話しかけられた時は、警戒を怠らないでください。
スリ集団のやり口として多いのが、「ターゲットの気をそらす」係と「スリを実行する」係に分かれるパターン。
「ターゲットの気をそらす」係は、地図を広げて道を聞いて来たり(この地図が目隠しに使われる)、わかりづらい英語や片言の日本語でターゲットを会話に集中させます。

私の母が地下鉄内で「妊婦だから座席をゆずって」と話しかけられたのはこのパターン。言葉が通じない旅行者にわざわざ頼むのがおかしいですね
イタリア人は人なつこいタイプが多いですが、道ばたで唐突に外国人に話しかけるようなことはありません。
急によくわからないことを話しかけられたときは、「アイドンノー」と言ってその場から離れるのが無難。特に片言の日本語で寄ってくる相手は、日本人をターゲットにしているので早く逃げましょう。
現金・クレジットカード類を分散させておく

5番目の対策は現金・クレジットカード類は分散させておくこと。

ここからは「スリの予防」ではなく、「スリにあった時に被害を最小に抑える対策」になります
現金やクレジットカードをすべて奪われてしまうと動揺しますし、資金調達に苦労します。
もしパスポートも一緒に盗られてしまった場合は、ローマの大使館かミラノの領事館まで行く交通費が必要になります。
少なくとも三か所くらいに現金・クレジットカード類を分散させておくのがおすすめですね。
パスポートのコピーを取っておく

最後に忘れずにしておきたいのは、パスポートのコピーを取っておくこと。
パスポート番号・名前・顔写真等が載っているページをコピーしておきます。
イタリアのホテルは原則としてパスポート本体がなければ宿泊できませんが、スリ被害にあった場合は、コピーで代用してもらえることがあります。
パスポートが盗られたら「コピーがあるかないか」でその後の動きやすさが違います。必ずコピーを用意しておきましょう!
貴重品はホテルの金庫に入れる?持ち歩く?

イタリアのホテルには、金庫(cassaforte)がよくついています。
イタリア旅行中のスリ対策として、観光時に貴重品をホテルの金庫に入れておくか、それとも自分で持ち歩くか。ガイド本や旅行会社の意見は半々です。
イタリアはスリが多いので、観光中はパスポートのコピーを持ち、パスポートや多額の現金はホテルのフロントに預けるか、部屋の金庫に入れるべきという意見もあります。
その一方でイタリアは泥棒も多く、ホテルの部屋に置いておくのは危険だし、ホテルのフロントに預けたら財布の中身を抜き取られていて、抗議しても取り合ってもらえなかったなんて話もありますね…。
どちらがよいかは、最終的には自己判断です。私は「貴重品を服の下に入れるなら持ち歩いても大丈夫だろう」と考え、持ち歩く選択をしています。
スリに狙われるNG行為!

スリは「弱そうな人」「余裕がなさそうな人」「スキがあって無防備な人」を狙います。
残念ながら「日本人観光客」というだけでスリのターゲットにされてしまいますが、狙われる確率を少しでも下げるだめに、スリに狙われやすくなるNG行為をしないようにしましょう。
スリに狙われるNG行為
- スーツケース等の荷物が多い時に急ぐ
- 人の多い場所でバックパックを無防備に持つ
- バッグを開けたままにする、もしくは開口部が閉まらないバッグを持ち歩く
- バス・地下鉄・電車内で眠る
- スマホの画面に夢中になる
とにかくスリにとっての「カモ」にならないこと!
上記のように貴重品をインナーセキュリティに入れておけば、スリに狙われた場合でも被害は少なくて済みます。
それでも、スマホやカメラなどバッグに入れて持ち歩くものもありますね。メイクポーチなども盗られたら地味に困ります。
自分の荷物は自分で守ることを意識しましょう!
もしスリにあったら?その後の対策
最後に、スリ被害に遭ってしまった後の対策についてまとめます。
- 「スリだ!」と思ったら大声で叫ぶ
- 盗られたものがあったら警察で被害届を出す
- クレジットカード・スマホの利用を止める
- パスポートを盗られた場合は大使館・領事館へ
「スリだ!」と思ったら大声で叫ぶ

「集団に囲まれた」「荷物に手を伸ばされている」…という状況に気づいたら、大声で叫んでください。
イタリアのスリは「バレた」と思ったら、犯行を断念することが多いです。
イタリア語で泥棒を意味する「ラードロ!」を叫ぶと効果的ですが、「ノー!」でもじゅうぶん。日本語で叫んでもOK。周囲に異変を知らせることが大事です。
叫び声が出ない場合は(私はそうでした)荷物の開口部を手でガードしましょう。それだけでもスリは諦める可能性が高いですよ!
盗られたものがあったら警察へ行き被害届を出す

残念ながら盗られたものがある場合は警察へ行きましょう。
海外旅行保険で保険請求する場合、クレジットカードの被害があった場合、パスポートの再発行…すべての手続きにおいて警察署で発行される盗難被害届(Denuncia di Furto)が必要になります。
できれば最寄りの警察署がよいですが、他の都市の警察署でも受け付けてもらえます。
イタリアの警察署では、英語が通じないことがあります。ただでさえスリに遭って動揺しているのに、しんどいですよね。
英語が通じない場合に、警察署で役に立つかもしれないイタリア語の文章を作ってみました。
Sono giapponese.(私は日本人です)
Non parlo italiano.(イタリア語がわかりません)
Mi hanno borseggiato.(スリに遭ってしまいました)
Vorrei denunciare.(被害届を出したいです)

これを見せたらとりあえず状況をわかってもらえるはず!
クレジットカードやスマホの利用を止める

クレジットカードやスマホを盗られた場合は、なるべく早く利用を止めてもらう必要があります。
ミラノの日本国総領事館が、主要なクレジットカード会社・携帯電話会社の緊急連絡先を下記のリンク先でまとめているので活用しましょう。
パスポートを盗られた場合は大使館・領事館へ

パスポートを盗られた場合はローマの大使館かミラノの領事館へ行かなければなりません。
「パスポートの再発行」か「帰国のための渡航書」をもらわないと、不法滞在扱いされてしまう可能性もあります。
身分証明書がない状態は非常によくないので、なるべく早く手続きしましょう。
イタリアでパスポートをなくした場合のくわしい対処法は、こちらのページにまとめてあります→イタリアでパスポート紛失・盗難に遭った際の行動マニュアル
まとめ
イタリア旅行でのスリ対策をおさらいします。
- 貴重品はインナーセキュリティに入れる
- 持ち歩き用の「捨て財布」を用意する
- 周囲の警戒を怠らない
- 話しかけてくる人には要警戒
- 現金・クレジットカードをしまう場所を分散する
- パスポートのコピーを取っておく
「パスポートと大金はインナーセキュリティに入れて洋服の下」…これを徹底すれば、たとえスリに遭っても被害が少なくて済みます。

しっかりとスリ対策をして、楽しいイタリア旅行にしましょう!
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- イタリア旅行マニア
- イタリア旅行マニアで今まで9回イタリアに足を運んでいます。何度でもイタリアに行く自分のために、イタリア旅行のマニュアルを作成したのがこのサイトです。
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