【目次】
イタリアで「イタリア料理」が食べられない!?
イタリアのレストランに入って、メニューを開いたときに、最初に動揺する(かもしれない)のが、日本人でも知っている、定番の「イタリア料理」のメニューがほとんどない!ことです。
「イタリア料理のことはよくわからないけど、定番イタリアンであるペペロンチーノやカルボナーラなら知っているから、そういうものをオーダーすればよいだろう」と思っても、メニューの中にないことが多いのです。
イタリアのイタリアンレストランは「郷土料理」が中心
このことには「イタリアにはイタリア料理は存在しない」という、イタリアの現地事情がよく反映されています。
「イタリア」という国が誕生したのは19世紀で、イタリアは非常に新しい国です。
それまでのイタリアは、北部・中部は小国が分立していた地区が多く、南部は地域によって違う国の支配を受けていたりしました。
つまりイタリアでは町ごと・地域ごとに歴史が大きく違います。イタリア史が、いまいち学びにくいのはそのためです。
私の勉強が足りないのもありますけどね…。
そういうわけでそれぞれの地域の歴史が違うために、「ミラノ料理」「フィレンツェ料理」のような、町の郷土料理は存在しても、日本人がイメージとして抱いているような「イタリア料理」というものは、実はイタリアには存在しないのです。
たとえば、日本人に有名な、「スパゲッティ・ボロネーゼ(ボローニャ風スパゲッティ)」は、イタリアでは「イタリア料理」ではなく「ボローニャ料理」です。
ボローニャ近郊か、ボローニャのあるエミリア・ロマーニャ州料理を看板に掲げているレストランでないと、食べられません。
家庭料理はイタリアのレストランのメニューにないので注意
この「イタリアのレストランは郷土料理が中心」という事情に加えて、イタリアのレストランでは、イタリアの家庭で食べることが多い料理はメニューにはない傾向があります。
ここらへんは日本でも、肉じゃがとかはあまり料理店で見かけないのと同じかもしれません。
そういった事情から、調理がシンプルで家庭で作ることが一般的な、ペペロンチーノやカルボナーラは、イタリアのレストランのメニューではほとんど見かけません。
ただし郷土料理中心の法則に従って、南イタリア発祥のペペロンチーノは南イタリア、ローマ近郊発祥のカルボナーラはローマ近郊のレストランでは、メニューに含まれることがあります。
逆に知っているメニューだらけのお店は観光客向けかも
現在の日本人が抱くイタリア料理のイメージで、特に古くから日本に定着しているものは、アメリカ経由で入ってきたものが多いそうです。
イタリアの観光地で働いている人たちで、研究熱心(?)な人たちは、そういった外国人観光客が抱いているイタリア料理のイメージというものを知っています。
そのためか、観光客を主にターゲットとしたお店では、ベタなくらい定番のイタリア料理がメニューに並んでいます。
しかし前述したように、イタリアに「イタリア料理」というものは存在しません。ベタな「イタリア料理」が並ぶレストランは、観光客向けの、あまり本格的でない料理を出すお店が多いです。
イタリアでおいしいお店に入るなら、「イタリア料理」ではなく「郷土料理」を出すお店がおすすめです。
補足ですが、たとえばフィレンツェで、ジェノヴァ出身の人がジェノヴァ料理を看板にしたお店を構えている…というようなタイプのお店は「郷土料理店」と考えて問題ないです。
おいしい料理を選ぶキーワードは「tipico」
以上のような理由で、イタリアのレストランのメニューにあるのは、その町近郊の郷土料理がほとんどで、ガイドブックに載っている「定番のイタリア料理のイタリアでの名称」を見ながらメニューを見ても、あまり役に立ちません。
足を運ぶ予定の町の郷土料理を予習していかない限り、メニューを見ても、英語表記がない場合はちんぷんかんぷんです。
でも、心配ご無用。
身振り手振りでも「おいしいおすすめの料理を教えて!」と訴えると、ウェイターさんがメニュー選びを手伝ってくれます。
こうやってパレルモの海鮮料理のお店で、絵に描いてメニューを説明してもらったこともありました。
ウェイターさんにメニュー選びを手伝ってもらう場合は、「tipico(ティピコ。複数の料理を指す時は『tipici』でティピチ)」な料理を尋ねるのがおすすめです。
「tipico」は英語のtipicalで、その土地の名物料理を指す形容詞です。
地元ラブの人が多いイタリアでは、たいていのレストランは「tipico」な料理に力を入れていますし、「tipico」料理をオーダーすると、心なしかウェイターさんの機嫌がよくなって、よりよいサービスを受けられるかもしれないです。
Quali sono i piatti tipici?(どれが郷土料理ですか?)という聞き方ができますが、カタコトで「ティピコ」「ティピチ」と訴えても、イタリア人はコミュニケーション得意な人が多いので、通じます。
イタリアのレストランメニューについてまとめ
- イタリアのレストランは「イタリア料理」でなく「郷土料理」を出すお店が多い
- 日本で定番のイタリアンは、発祥の町以外ではあまり見かけない
- ベタなイタリアンばかりがメニューに並ぶお店は観光客向けかも
- ウェイターさんにtipico(郷土料理)をおすすめしてもらおう!
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- イタリア旅行マニアで今まで9回イタリアに足を運んでいます。何度でもイタリアに行く自分のために、イタリア旅行のマニュアルを作成したのがこのサイトです。
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