【目次】
広い広いバチカン美術館。
どのくらい広いかというと、「順路に沿って全ての展示ルートを歩くと全長7㎞」の広さです。
7㎞って…立ち止まらずに普通に歩いても1時間半くらいかかる距離…
そんな広大なバチカン美術館を効率よく回るためのルートを、所要時間別に「スタンダード(3~4時間)」「かけ足派(1~2時間)」「じっくり派(半日~1日)」にの3つに分けて作ってみました!
ポイントは「順路通りではなく見たいものから見る」ことです。
順路通りに進まない方がよい理由は?
バチカン美術館は順路通りに進むと、最大の見どころである「システィーナ礼拝堂」が後ろの方になってしまい、「たどり着いた時には疲れていた」「時間が押してゆっくり見られなかった」…となってしまいがちなんです(経験者は語る!)。
経験者は語る!
また、バチカン美術館は迷路…とまではいかなくても構造が複雑です。迷いそうな箇所は地図付きでていねいに解説します!
このページにはこんなことが書いてある!
スタンダードに3~4時間で回るコース
まずはバチカン美術館を鑑賞する際の平均的な所要時間、3~4時間で回る場合のおすすめコースをご紹介します。
3~4時間コースのポイント
- 最初にラオコーン像に直行する
- ラオコーンを見た後はだいたい順路通りに進む
- いったん総合案内所に戻ってから、ピナコテカと最初に飛ばした古代彫刻コーナーへ
- ピオ・クレメンティーノ美術館(ラオコーン像)
- 総合案内所からスタート!順路ではピオ・クレメンティーノ美術館の前にある3つの博物館(エジプト美術館・キアラモンティ美術館・新回廊)を飛ばして、ラオコーン像があるピオ・クレメンティーノ美術館へ直行します。ピオ・クレメンティーノ美術館へ直行する方法はこちらでくわしく解説しています。
- 最上階の通路をまっすぐ
- ラオコーンを見た後階段を上がり最上階へ。大燭台のギャラリー→タペストリーの間→地図の間と進みます。この通路は一方通行で後戻りできません。
- ラファエロの間
- 最上階の通路の突き当りで左折し、ラファエロの間へ。
- ボルジアの間
- ラファエロの間の見学後は階段を下りてボルジアの間と呼ばれるエリアへ。ラファエロの間からシスティーナ礼拝堂へ続くエリアですが、階段を上ったり下りたりして結構長い道のりです。途中にゴッホやマティスなどの近代美術の展示があり「近現代美術ギャラリー」と呼ばれることもあります。このエリアはスキップすることも可能
- システィーナ礼拝堂
- バチカン美術館最大の見どころシスティーナ礼拝堂へ。
- 総合案内所へ戻る
- システィーナ礼拝堂見学後は、キリスト博物館、バチカン図書館などを見学しながらいったん総合案内所へ戻ります。この道は一方通行で迷う心配はありません。総合案内所近くにはレストランやカフェがあるので、疲れていたら休憩を挟みましょう。
- ピナコテカ(絵画館)
- 総合案内所から右手の方へ進み、ピナコテカ(絵画館)を鑑賞します。ピナコテカ見学後は総合案内所へ戻ります。
- 余力があれば新回廊へ
- まだ時間と元気が残っていたら、最初にスキップしたキアラモンティ美術館と新回廊の彫刻群を鑑賞しましょう。総合案内所から近い場所にあります。
この3~4時間コースをバチカン美術館公式サイトが配布している館内マップを使って見るとこんな感じ。エントランス階(1階)→最上階(2階)→エントランス階(1階)の順に回ります。
【かけ足派】1~2時間で回るコース
次にバチカン美術館を1~2時間で見学する「かけ足コース」をご紹介します。
1~2時間でバチカン美術館の全体を堪能するのは無理です(だって全長7㎞!)。見たいポイントをしぼって「見たいもの順に鑑賞する」のがコツです。
かけ足コースのポイント
- タイムオーバーを避けるため「ラファエロの間」「システィーナ礼拝堂」を先に見る
- いったんスタート地点に戻ってからラオコーン像を見る
- スタート前に順路をしっかり頭に入れておく
- 2階の通路を直進
- スタート地点から左に進み、最初に見える階段を上って2階に行きます。階段途中にあるエジプト美術館には入らず最上階まで行きましょう。2階の通路を直進して大燭台のギャラリー→タペストリーの間→地図の間と進みます。この3つの部屋の中では「地図の間」が一番人気があります。時間がないので「地図の間」まではなるべく立ち止まらないで進みましょう。
- ラファエロの間
- 通路の突き当たりを左折してラファエロの間へ。4室あるうち、ラファエロ本人が制作に大きく関わっている2室と3室を重点的に見学します。
- ラファエロの間→システィーナ礼拝堂の近道へ
- ラファエロの間を見た後はシスティーナ礼拝堂へ直行します。ここは注意が必要です。ラファエロの間を出た後に最初に見える階段を下ると「ボルジアの間」に続き、システィーナ礼拝堂までは遠回りになってしまいます。地図の間から延びている通路の突き当たりまで戻ると、システィーナ礼拝堂への近道階段があるので、ここを下ります。 詳しくはこちらで解説していますので合わせてご覧ください。
- システィーナ礼拝堂
- システィーナ礼拝堂を見学。
- 総合案内所へ戻る
- スタート地点である総合案内所へ戻ります。システィーナ礼拝堂からは一方通行なので迷う心配はありません。総合案内所への道の途中にも展示室がありますが、時間がないのであまり立ち止まらずに戻りましょう。
- ピオ・クレメンティーノ美術館へ
- ここでタイムオーバーの場合は出口から退館。時間があれば左手の方から中庭に出て、ラオコーン像のあるピオ・クレメンティーノ美術館へ向かいましょう(ピオ・クレメンティーノ美術館へ行く方法はこちら)。ピオ・クレメンティーノ美術館の見学後は2階へ続く階段を上らないで、その脇をまっすぐ進んで総合案内所→出口へと向かいます。(※彫刻より絵画が好きな方はピオ・クレメンティーノ美術館に代えてピナコテカへ向かうのもアリ!)
「かけ足コース」をバチカン博物館公式サイトの地図で見るとこんな感じ。エントランス階(1階)→最上階(2階)→エントランス階(1階)という流れです。
【じっくり派】半日~1日かけて回るコース
最後に紹介するコースは、半日~1日かけてバチカン美術館をじっくり堪能するコースです。
じっくりコースのポイント
- 混雑を避けるため、朝一番に「ラファエロの間」「システィーナ礼拝堂」へ直行
- 途中でランチ休憩を入れる
- 休憩後にバチカン美術館をほぼフルコースで回る
この「じっくりコース」は、訪問する見どころがかなり多いです。
それぞれの見どころを、バチカン美術館公式サイトで配布している地図で振ってある番号と一緒にご紹介します。
- 朝一番8:00にバチカン美術館に入場
- 開館時間8:00にバチカン美術館に入場しましょう。予約を取る場合も朝一番の予約を取ってください。すぐに鑑賞を始められるように、クロークに預ける荷物と、博物館で持ち歩く貴重品等の荷物は入館前から分けておきます。
- 「なるべく早く」ラファエロの間に到達する!
- 開館したばかりで混雑しないうちに⑩ラファエロの間に直行!入口から左折して、最初の階段で2階へ上ります(エジプト美術館のある中2階で止まらず最上階まで上る)。⑥大燭台のギャラリー→⑦タペストリーの間→⑧地図の間→⑨無原罪の御宿りの間と進みますが、後からココは通るので脇目もふらずにラファエロの間に行く!ラファエロの間でも第1室と第4室は素通りしましょう。ラファエロの大作が残る第2室と第3室を重点的に見学。ここで時間を取り過ぎるととシスティーナ礼拝堂の混雑が始まってしまうので、あまり長居しすぎないのがコツ。
- 近道を使ってシスティーナ礼拝堂へ
- ラファエロの間の見学後は⑪ボルジアの間に通じる階段を下りずに、階段の脇を通り抜けて⑫システィーナ礼拝堂への近道階段を下ります。ココは下りる階段を間違えると遠回りになってしまうので慎重に!ここのポイントは地図を使ってくわしく解説しているのでご確認ください。システィーナ礼拝堂が一番すいているのは朝早い時間帯なので、じっくり鑑賞しましょう。
- 総合案内所へ戻る
- ⑫システィーナ礼拝堂見学後は一方通行の通路を通ってスタート地点の総合案内所へ戻ります。この通路は非常に美しく4つの美術館・博物館から構成されていますが、後からもう一度通る時に鑑賞します。ココではサッと通り過ぎましょう。
- ピナコテカ(絵画館)
- 総合案内所に戻ったら⑲ピナコテカ(絵画館)へ。
- ランチ休憩
- ピナコテカ鑑賞後、地下階(0階)に下りてレストランコーナーでランチ休憩を取りましょう。食事時は混雑するので少し早めに入るのがおすすめ。
- 地下階の美術館を見学
- ランチ後はレストランと同じ地下階にある⑳切手・貨幣博物館㉑民族学博物館㉒馬車博物館をぶらっと回りましょう。ココまで来る観光客は少ないので落ち着いて見学できます。
- ここからは順路通り!エジプト博物館へ
- ここからはバチカン美術館を順路通りに一回りします。まず入口から左折して階段を少し上り、中2階みたいな場所にある①エジプと博物館へ。階段の近くから外に出て中庭を横切っていく人もいますが、人の流れに乗って中庭に出るとエジプト博物館をスキップしてしまうので注意!
- 2つの古代彫刻博物館を見学してUターン
- エジプト博物館見学後、右手にある階段を下りて②キアラモンティ美術館→③新回廊を見学。どちらも古代彫刻の展示です。新回廊にある「アウグストゥス像」「ナイル河の擬人像」は有名。新回廊を突き当りまで進んだらUターン。エジプト博物館見学後に下りた階段を上り、エジプト博物館方向に左折せずにまっすぐ進みます。
- ピオ・クレメンティーノ美術館(ラオコーン像)
- バチカン美術館の人気スポット④ピオ・クレメンティーノ美術館へ。人気の「ラオコーン像」以外にもステキな彫刻が多く、じっくり鑑賞したい美術館。順路通りに進むとスフィンクスが近くに展示されている階段にたどりつきます。この階段を上って2階へ。
- エトルリア博物館
- 2階に到着。朝一番にラファエロの間に直行した時はそのまま直進しましたが、ここでは左折して⑤エトルリア博物館へ。ローマ支配前のイタリアに先住していたエトルリア人の文化を見学できます。展示室をぐるっと回って2階の入口まで戻ります。
- 大燭台の間・タペストリーの間・地図の間
- 次は一本道で一方通行だから簡単!2階の入口からまっすぐ伸びている通路を⑥大燭台の間→⑦タペストリーの間→⑧地図の間と進みます。地図の間は天井装飾が美しく、バチカン美術館の人気スポットのひとつです。この通路を突き当たりまで進むと、正面にシスティーナ礼拝堂に続く階段、左手にラファエロの間へ続く順路。ここでは左手に曲がりましょう。
- 無原罪の御宿りの間
- 左手に曲がってすぐの部屋は「ソビエスキ王の間(Sala Sobieski)」。その次の部屋は⑨無原罪の御宿りの間。無原罪の御宿りの間はカラフルな壁画が描かれ、時々「ここからラファエロの間が始まっている」と間違われています。ラファエロの間はこの次の部屋からです!
- ラファエロの間
- ⑩ラファエロの間を再び見学!おそらく朝一番の時とはくらべものにならないほど混雑しているのではないかと。ラファエロの間で一番混雑する場所は第3室「アテネの学堂」の前です。「アテネの学堂」は朝一番の時にしっかり鑑賞しておいて、ここでは午前中にスルーした所を中心に見学しましょう。
- ボルジアの間
- ラファエロの間の見学後は、ラファエロの間の次にある「ウルバヌス8世の礼拝堂(Capella di Urbano)」を通り抜け、⑪ボルジアの間へ続く階段を下ります。この階段は午前中はスルーした階段です。ボルジアの間は階段を上ったり下りたりする長いエリアで、ゴッホなどの近代絵画が展示されています。ボルジアの間の奥にはカフェがあるので、一休みいれるのもアリです。
- システィーナ礼拝堂
- ⑫システィーナ礼拝堂に再び入場。たぶん混雑しまくっているので「朝のすいている時間に見た私は勝ち組!」と勝ち誇りましょうっ!天井画や「最後の審判」を落ち着いて鑑賞するのは難しいと思うので、この時間帯はボッティチェリなどが手掛けている左右の壁画の鑑賞に当てるとよいでしょう。
- 総合案内所に戻りながら美しい通路を堪能
- システィーナ礼拝堂から総合案内所に戻る道は一方通行。ここを通る観光客はシスティーナ礼拝堂を鑑賞し終わっていて、何となく「終わった感」から素通りしてしまう人もいます。ただの通路にしては美しすぎるこの通路は、実は4つの美術館・博物館から構成されていて⑬アルドブランディー二の婚礼の間⑭キリスト教博物館⑮バチカン図書館⑯世俗博物館と続きます。⑬の「アルドブランディーニの婚礼」は有名な古代ローマのフレスコ画ですが、システィーナ礼拝堂を出てすぐ左手の小部屋の中にあるため見逃しやすいです。気を付けて!(見逃したのはこの私…また次の機会にっ!)
- バチカン美術館出口近くの2つの博物館へ
- 総合案内所に戻ってまだ時間があったら、出口近くにある2つの博物館⑰グレゴリアーノ世俗博物館(古代彫刻展示)⑱ピオ・クリスティアーノ博物館(キリスト教関連の芸術品展示)に立ち寄りましょう。マイナーな場所で見学者が少ないですが、ココまで鑑賞したらバチカン美術館コンプリートです!
じっくりコースを公式サイトの地図でたどるとこんな感じです。
道を間違えやすいポイントを徹底解説!
バチカン美術館を効率的に回るために、道を間違えやすいポイントを押さえておきましょう。
バチカン美術館の「迷子ポイント」は、やはり道が分岐している場所。
バチカン美術館の迷子ポイント
- 【1階】スタート地点のすぐ左手、2階(システィーナ礼拝堂方面)への近道階段
- 【1階】入口からピオ・クレメンティーノ美術館(ラオコーン像)方面へ直行するルート
- 【2階】ラファエロの間を見た後にシスティーナ礼拝堂へ近道するルート
この3つのポイントで間違わないように、ていねいに徹底解説します!
公式サイトの地図を使うので、それぞれの見どころは公式サイトの地図で振ってある番号をつけて紹介します。
2階への直行階段は最上階まで上り切るのがポイント!
バチカン美術館のスタート地点では、ほとんどの人はまず左折します。「⑲ピナコテカ(絵画館)」に行きたい人だけが右折します。
左折すると、正面に中庭へと続く扉、左手に階段があるポイントがあります。
「『⑩ラファエロの間』『⑫システィーナ礼拝堂に直行する人』と『順路通り①エジプト美術館から鑑賞する人』はこの階段を上ります。
ちょっと待って!ラファエロの間・システィーナ礼拝堂に直行する人は「①エジプト美術館」をスキップするのに、なぜ同じ階段を上るのだね!?
…と思いますよね。ココ、少しだけ複雑でして、「①エジプト美術館」は中2階のような場所にあるんです。
ですので、⑩ラファエロの間⑫システィーナ礼拝堂へ近道したい方は階段を中2階で止まらずに最上階まで上ります。ここでエジプト美術館方向へ行ってしまうと「???」となるので気をつけて!
ピオ・クレメンティーノ美術館へ直行する方法
このページで紹介した3~4時間コースでは、まずラオコーン像がある「④ピオ・クレメンティーノ美術館」へ直行します。
順路では「④ピオ・クレメンティーノ美術館」より前にある3つの博物館(①エジプト美術館・②キアラモンティ美術館・③新回廊)を飛ばして、ラオコーン像がある「④ピオ・クレメンティーノ美術館」へ向かいます。
「④ピオ・クレメンティーノ美術館」に直行するには、入口左手から松ぼっくりのオブジェがある中庭に出ます。
松ぼっくりオブジェの前をまっすぐ通過して室内へ入り、左手の階段を上った先が「④ピオ・クレメンティーノ美術館」。
3~4時間コースでは、時間があったら最後に「③新回廊」へ向かいます。ついでに「③新回廊」へ直行する方法も紹介しますね!
「③新回廊」へ直行する方法は途中まで「④ピオ・クレメンティーノ美術館」への直行ルートと同じです。松ぼっくりの前を通過します。
「③新回廊」方面へ行く場合は、室内に入ったら階段を左手に見て右折します。「②キアラモンティ美術館」の先が「③新回廊」です。
「③新回廊」は突き当たりまで進むと行き止まり。Uターンして元の道を戻ります。
ラファエロの間→システィーナ礼拝堂の移動について
「⑩ラファエロの間」と「⑫システィーナ礼拝堂」の間にある「⑪ボルジアの間」は、近代美術のセクションもあって階段の上り下りが多く、システィーナ礼拝堂入口までかなり歩きます。
「⑩ラファエロの間」の手前には、「⑪ボルジアの間」を通らないで「⑫システィーナ礼拝堂」へ向かう近道階段があります。
「⑩ラファエロの間」を見た後にこの近道階段へと続く通路があるのですが、この通路は現在閉鎖されているかもしれません(最近この通路を通ったという体験談がない)。
その場合、「⑩ラファエロの間」を見た後「⑫システィーナ礼拝堂」へ行くにはどうするか?というと、2通りの方法があります。
- 「ウルバヌス8世の礼拝堂」を抜け「⑪ボルジアの間」へ続く階段を下り、順路通り「⑪ボルジアの間」の後に「⑫システィーナ礼拝堂」へ向かう
- 「⑩ラファエロの間」→「⑨無原罪の御宿り」→「ソビエスキ王の間」→「ピウス5世の居室」と元来た道を戻り、近道階段を下る
①②のどちらがよいか?というと、システィーナ礼拝堂への距離が近いのは②です。
ただし、混雑時にはラファエロの間周辺は一方通行になる可能性があり、後戻りできないかもしれません。
現地で状況を見てルートを選択しましょう。
まとめ
バチカン美術館を回るモデルコースを3つご紹介しました。
それなりに自信作です!ご活用いただければ幸いです~
バチカン美術館のような広大な美術館を上手に回るコツは、なるべく「見たいものから見ること」。
特にあまり時間がないという場合は、バチカン美術館の全体的な地図や、間違いやすいポイントを頭に入れてから効率的に動きましょう。
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