【目次】
フィレンツェの見どころのある教会は、入場が有料である場合が多いですが、無料で入れる素敵な教会もあります。私が無料で入場した、おすすめの教会をご紹介します。
フィレンツェでは、無料で入れた観光地が有料になるという変更がよくあります。
ここで紹介する教会は、私が訪問した時は無料でしたが、入場料を取るようになる可能性もございますので、ご了承下さい
(もし、有料に変更になっていた場合は、メールにて教えて頂ければ幸いです)。
オルサンミケーレ教会
ドゥオーモとシニョリーア広場の中間にあり、思わずフィレンツェのど真ん中にあるオルサンミケーレ教会。
フィレンツェに長期滞在する場合は、何度も目の前を通ることになると思います。
正方形で、どこが正面かわかりづらく、教会っぽくない建物ですが、このユニークな形は、もともと小麦市場だったことに由来するそうです。
外装はドナテッロやギベルティ、ヴェロッキオといった、そうそうたるルネサンス芸術による彫刻が立ち並び、なかなか豪華です。ただし、彫刻作品はレプリカもあるそうです。
豪華な外観に対して、内側は暗くて地味な印象で、「言われてみれば小麦市場みたい」な感じを受けます。無料入場できますが、閉まっていることも多いです。
イタリア語:Orsanmichele
サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会
捨て子養育院近くの、柱廊が素敵な教会です。地元の礼拝の人たちが多く、観光は静かにお願いしますという貼り紙がありました。
入り口の方の、右手の祭壇に、天使が描いたと伝わる聖母マリアの絵があります。
教会の神父さんいわく、女性に幸せをもたらすそうで、この聖母マリアの小さなカードを頂きました。祭壇前に置いてあることもあり、喜捨して持ち帰ることができます。
教会の左側の方には、カスターニョ作の『三位一体』という、ちょっと面白い構図の絵があります。
バディア・フィオレンティーナ教会
バルジェッロ美術館近くにある教会です。
バルジェッロ美術館と向き合っている、プロコンソロ通りに面した門が美しいですが、入口はこの門から入るのではなく、ダンテの家のあるアリギエーリ通りにあります。
まずは庭に入ってから、教会に入ります。
入口近くにあるフィリッピーノ・リッピの作品は、今まで見たフィリッピーノの絵の中で、一番気に入りました。
教会の敷地内には、ハーブ薬局の「モナスティカ」があり、ハーブで作ったコスメ類を販売しています。
イタリア語:Badia Fiorenitna
旧サンタポッローニア修道院(カスターニョの最後の晩餐)
サン・マルコ広場西の方、少し観光コースから外れた場所にあります。
カスターニョの『最後の晩餐』を見るための入口はサン・マルコ広場から伸びている「V XXII Aprire通り」です。修道院の正面入り口(レパラータ通り)からではありません。
少しわかりにくので、注意してください。
『最後の晩餐』は、大変に保存状態がよく、期待以上に良かったです。
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』をミラノで鑑賞する場合は、比べてみるのも面白いです。
スカルツォの回廊
サン・マルコ修道院のすぐ近くにある、洗礼者ヨハネ信心会(通称スカルツォ)の修道院回廊に、アンドレア・デル・サルトが描いたモノクロームの壁画が残されています。
彩色されていませんが、もともとモノクロームの壁画を描いて欲しいという注文を受けて描いたそうで、このモノトーンの状態で完成形なのだそうです。
美術館などで、色鮮やかなルネサンス絵画を見慣れた目で鑑賞に行くと、とても新鮮に感じます。
作品の完成度も高く、観光客もほとんどいないので、心静かに鑑賞できます。
サン・マルコ修道院の、道路を挟んだお隣の建物なので(駅側)、サン・マルコ修道院に行く際に立ち寄ることをおすすめします。
サンタ・マリア・マッダレーナ・デ・パッツィ修道院
ペルジーノのフレスコ画が残ります。修道院北側の「Via della Colonna」という通りから入ります。修道院中庭へ続く正面入り口から入らないように注意して下さい。
2012年3月の時点では、火曜と木曜の14:30~17:30しか開いていませんでした。観光インフォメーションなどで、正確なオープンの時間を確認してから足を運んだ方が無難です。
誰も鑑賞者がいないと、30分前に閉めてしまっていたこともありました。
私も、いつ足を運んでも閉まっていて、このペルジーノのフレスコ画にたどり着くまでには苦労したのですが、それでも何度もチャレンジした甲斐があったと思うほど、素敵な作品でした。
ペルジーノの作品は出来ばえの良さにばらつきがあるのですが、ここのフレスコ画は、ペルジーノの傑作と呼べると思います。
フレスコ画で傷みが激しいこともあり、写真撮影は不可でした。
サンタ・トリニタ教会
サンタ・トリニタ橋のたもとにある教会です。ロレンツォ・モナコやギルランダイオの、優美な作品があります。
内部は暗く、点灯マシンを使わないと絵の鑑賞はできないので、50セント硬貨や€1硬貨などの小銭を持っていきましょう。
(小銭がない場合は、待っていれば誰かが点灯してくれますが…)
イタリア語:Santa Trinita
オーニッサンティ教会
素敵な美術作品が多く、フィレンツェの無料教会の中で一番気に入った教会です。特にギルランダイオの、柔らかいタッチの絵が好きな方は必見の教会です。
教会内の必見作品は、右側にある、ヴェスプッチ家礼拝堂上部に描かれたギルランダイオの『慈悲の聖母』、教会の中ほどの右と左に、競作のように飾ってある、ボッティチェリの『聖アウグストゥヌス』とギルランダイオの『聖ヒエロムニス』。
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』に影響を与えたと言われる、ギルランダイオの『最後の晩餐』は、教会の外に出て、左側にある食堂内にあります。
この『最後の晩餐』の鑑賞は喜捨制度なので(チップをお皿に置いていく)、1~2ユーロの小銭を持っていくと便利です。
イタリア語:ognissanti
サンティ・アポストリ教会
ルネサンス建築の多いフィレンツェでは珍しい、ロマネスク様式の古い教会です。観光客も少なく、静かに雰囲気を味わうことができます。
内部はいかにもロマネスク教会らしく重厚で暗く、その中に明るいロッビア作品があるのが対照的な雰囲気です。
教会前のこじんまりとした広場は、「Piazza del Limbo(辺獄広場)」という変わった名前の広場です。
昔ここが、洗礼を受ける前に死んでしまった子どもたちを供養する場だったのが、広場名の由来になっています。
(補足:キリスト教思想で、洗礼を受けていない人は天国に行けないため、地獄に行くような罪を犯していなければ、死後に「辺獄」に行きます)
サンタ・フェリチタ教会
ヴァザーリの回廊が、教会の一部に通っている教会です。
教会後方のバルコニー部分が、ヴァザーリの回廊の一部になっていて、メディチ家の人々が、ヴァザーリの回廊を通る際、途中で礼拝ができるような作りになっています。
教会内部の作品では、ポントルモの『十字架降下』が有名です。ルネサンス芸術が終焉し、どことなく不安定な作風で描かれる、マニエリスム芸術の代表作です。
不穏な雰囲気のパステルカラーで描かれていて、調和を重んじるルネサンス芸術との違いが、よくわかります。
サント・スピリト教会
未完の、真っ白なファサード(正面部分)が印象的な、サント・スピリト教会。
この教会は、何と言っても、ミケランジェロの、木製の『十字架像』があることで有名です。
ミケランジェロの大理石で作った力強い彫刻作品と比べて、木の優しさが印象に残る、不思議な魅力のある作品です。
ミケランジェロは、この『十字架像』を、解剖学に理解を示していた、サント・スピリト教会へのお礼として作ったと言われています。
ミケランジェロの『十字架像』は、入って左の方の、別室に置かれています。
私が鑑賞した時は、このミケランジェロの部屋は、閉館30分前にはクローズしてしまったので、閉館時間に余裕を持って訪問した方がよいでしょう。
サン・ミニアート・アル・モンテ教会
ミケランジェロ広場の、さらに上のほうにある教会です。ミケランジェロ広場を特集したページでご紹介していますので、下記のリンクからご覧ください。