【目次】
ヴェッキオ宮殿は奥が深い!
シニョリーア広場に、堂々と構えているのがヴェッキオ宮殿(Palazzo Vecchio)。ヴェッキオ宮とも呼ばれます。
どことなく可愛らしいドゥオーモやジョットの鐘楼と比べて、男性的で力強い建築物です。
私は「フィレンツェのお父さん」と勝手に呼んでます。「フィレンツェのお母さん」はドゥオモ!
ヴェッキオ宮殿はもともとフィレンツェ共和国の政庁だった建物で、現在でもフィレンツェ市庁舎として使われています。
このヴェッキオ宮殿、パックツアーで入場することはあまりないと思います。
またウフィツィ美術館やアカデミア美術館などに比べると、後回しにされがちな観光スポットで、1~2日の滞在ではなかなか入場しないと思いますが、実はいろんな楽しみ方ができる奥の深い建物なんです!
フィレンツェにゆっくりと滞在できる方は、時間をかけてたっぷりヴェッキオ宮殿を楽しみ尽くすことをおすすめします。
ヴェッキオ宮殿見学に必要な所要時間は?
ヴェッキオ宮殿は見学できる部屋がたくさんあり、結構広いです。
見学の所要時間として1~2時間は確保しておきたいところです。
「急ぎ足で1時間程度でまわりたい」という場合は、しっかり見学したいポイントをしぼっておくのがおすすめです。
塔にも上るなら、プラス30分くらいを考えておきましょう。
ヴェッキオ宮殿「通常のチケット」で楽しめるスポット
ヴェッキオ宮殿の入場見学は有料です。
いろいろな種類のチケットがあり、「塔」や「秘密の通路ツアー」のチケットは通常チケットとは別料金になります。
まずはヴェッキオ宮殿の「通常チケット」で見学できるスポットをご紹介します!
映画『インフェルノ』に登場・五百人広間
ヴェッキオ宮殿に入場すると、階段を上り、最初に出るのが五百人広間(Salone dei Chinquecento)です。
文字通り五百人は入れる大きさです。
映画「インフェルノ」に登場する広間です。
この五百人広間は、ヴァザーリとその工房による天井画と壁画で装飾されています。
天井の中心には、ヴァザーリに五百人広間の装飾を命じたコジモ1世の肖像が描かれています。
ヴァザーリの壁画はフィレンツェと他の都市の戦いが題材です。流血もありちょっと残酷な場面もあります。
壁の下からレオナルド・ダ・ヴィンチの幻の絵が見つかるかも!?
現在、五百人広間のヴァザーリの壁画は、大きな注目を集めています。
この五百人広場は、ヴァザーリが壁画を描く前は、なんとレオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロがそれぞれ東と西の壁に絵を描く予定だったそうです。
どちらとも途中までは描いていたそうなのですが、残念ながら計画の途中で二人ともフィレンツェを離れ、この豪華な競作計画は頓挫しました。
そしてその後、ヴァザーリがコジモ1世に命じられて新しい壁画を完成させます。
未完成とはいえ、巨匠の作品の上から新しい絵を描くなんてもったいないな…。
と思ってしまいますが、ヴァザーリが描いた東側の壁の絵の中には、「CERCA TROVA(探してみなよ、きっと見つかるから)」と書かれた緑の旗を持っている兵士がいます。
この謎めいた文字は、「ヴァザーリが巨匠の作品を壊したり消したりせず、保存したまま上に新しい壁を作って作品を描いたというメッセージではないか?」と言われてきました。
そして調査の結果、実際にヴァザーリが描いた東側の壁画は、二重壁になっていることが判明しました!
現在判明しているのは、この「壁が二重構造になっている!」ということまでなのですが、ヴァザーリの絵の下から、レオナルド・ダ・ヴィンチの未完作品が見つかるのではないか?と、専門家や美術ファンが色めき立っている状況です。
暗号「CERCA TROVA」はどこにある?
さてその暗号「CERCA TROVA」を、私は実際に五百人広間で探してみましたが、見つかりませんでした。
レオナルド・ダ・ヴィンチの幻の絵を探す前に、その暗号コードが見つからない!
調べてみると、この文字は五百人広間の壁を見上げて肉眼で見える大きさではないそうです。
「どうしてもどうしても見つけたい!」という方は、双眼鏡などを持って、東側(正面を見て右)の、右の方の絵の上部、山のふもとあたりを探してみて下さい。CERCA TROVA!
『イルカを抱くキューピッド』のオリジナルを見よう!
ヴェッキオ宮殿の入り口(入場券不要で入れるエリア)は、エレガントな柱が立ち並び非常に美しいです。
中央にはヴェロッキオ作の、小さくてかわいらしい『イルカを抱くキューピッド』像があります。
このキューピッド像、入口に置いてあるものはレプリカで、本物はヴェッキオ宮殿内部に展示してあります。
ヴェロッキオはレオナルド・ダ・ヴィンチとボッティチェリの先生で、「出藍の誉れ(弟子の方が優れてる)」の例として出されてしまうかわいそうな先生ですが、実は先生だって結構スゴイんです!
このキューピッドは先生の代表作で、本当にかわいらしいので、ぜひ実物と対面してみて下さい!
「百合の間」で百合まみれ
順路の奥の方には、「百合の間」と呼ばれる部屋があります。
フィレンツェのシンボルである百合のマークが、壁、天井のあちこちにぎっしりとひしめいていて、個人的に大好きなお部屋です。
油断していると「ここにも百合」「あ、ここにも百合」みたいな、百合尽くしです。
部屋の中にしれっと置かれている彫刻は、ドナテッロ作の『ユーディットとフォロフェルヌス』です。
先ほど紹介した五百人広間にもミケランジェロ作の彫刻がしれっと置かれていて、大変な芸術作品が何でもないように置かれているのも、ヴェッキオ宮殿の面白さです。
ヴェッキオ宮殿の塔は隠れたパノラマスポット!
ヴェッキオ宮殿はキャラメルみたいな立方体から、ニョキッと出ている塔(Torre di Arnolfo)が印象的ですが、塔には追加料金を払って上ることができます。
フィレンツェの中心街のパノラマスポットと言えば、ドゥオモのクーポラかジョットの鐘楼が有名で、「どちらに上った方が眺めがよいか」よく議論になっています。
しかし、クーポラに上るとクーポラが見えず、ジョットの鐘楼に上るとジョットの鐘楼が見えません。
そこで!ヴェッキオ宮殿の塔ですよ!
ヴェッキオ宮の塔に上ると、ドゥオモのクーポラとジョットの鐘楼どちらとも眼前に拝むことができるんです!
フィレンツェ最高の眺めをあなたに!(ヴェッキオ宮殿の塔の回し者のような私)
ただしひとつだけ難点がありまして、ヴェッキオ宮の塔は周囲の壁が高くて、しっかりとパノラマを見ることのできるエリアが狭く、そのエリアに行列ができます。
そのため譲り合いながら順番に眺めるので、長々と美しいパノラマを眺め続けるのは難しいです。
それでも塔に上る人数には制限を設けているので、塔まで上ってから、眺めのいい場所の順番待ちが長いということはありません。
ここからのドゥオモの眺めは、ぜひおすすめしたいです!
フィレンツェの塔へは、百合の間の近く(3階)から上るため、塔のてっぺんまでの階段を上るのはそれほど大変ではありません。ちゃっと上れます!
秘密の通路ツアーでフランチェスコの書斎をのぞこう!
ヴェッキオ宮殿は「秘密の通路ツアー(Secret passges tour)」というガイドツアーに参加すると、フランチェスコ1世の書斎など、通常チケットでは入れないエリアの見学ができます。
フランチェスコ1世の書斎はヴァザーリが中心となって装飾し、フランチェスコ1世の両親(コジモ1世とエレオノーラ)の肖像画や、ギリシャ神話モチーフの絵がきらびやかに並んでいます。
小さいながらも大変に華やかな空間です。
このフランチェスコ1世の書斎には、妙な秘密通路を通って行きます。
書斎の中にも、隠し戸棚・隠し扉などがあり、権力者の猜疑心・孤独感を感じます。
このツアーで周るのは、フランチェスコ1世の書斎以外に、コジモ1世の書斎、500人広間の吊り天井のカラクリが見れるエリアなどです。
フィレンツェを治めたメディチ家の、華やかな権力の裏にある孤独を感じさせる秘密の通路。
ガイドツアーは英語かイタリア語のみではありますが、言語がわからなくても楽しめると思いますので、ぜひヴェッキオ宮殿の秘密をのぞいてみて下さい。
ヴェッキオ宮殿まとめ
- ヴェッキオ宮殿見学の所要時間の目安は1~2時間
- ヴェッキオ宮殿の見どころは五百人広間、イルカを持ったキューピッド、百合の間など
- ヴェッキオ宮殿の塔から見えるパノラマはおすすめ!
- 「秘密の通路ツアー」は英語・イタリア語のみ。当日空きがあればヴェッキオ宮殿切符売場で申し込める
- 公式サイト?→https://museicivicifiorentini.comune.fi.it/en/palazzovecchio/
次のページ期間限定で公開される「ヴァザーリの回廊」は予約必須!
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