【目次】
ヴェネツィア内で使える乗り物は船だけ!
何度も繰り返して書いていますが、ヴェネツィア内には自動車が入ることができません。
イタリアには、中心街に自動車が入れない町はいくつかあります。
大抵は、ボローニャやルッカのように、基本的には車で入れなくても、何が何でも完全にダメというのではなく、許可を得たタクシーなどの車両は入ることができます。
しかし、ヴェネツィアは、車は完全にダメです。
これは本当に珍しいです。バイクもダメ、自転車ですらダメです。
ヴェネツィア内を転がっている車輪は、観光客のスーツケースの車輪か、物資を運んでいる手押し車、生活に必要な車椅子・ベビーカーだけです。
ちなみに、ヴェネツィアに自動車で入ることは、おそらく物理的にも不可能です。
大小の運河が無尽に張り巡らされているため、小さな階段状の橋が無数にかかっていて、車で渡ることができないのです。
この小さな橋を、手押し車は器用に渡って行きます。職人技です。
というわけで、ヴェネツィアで使える交通手段は、船だけです(あ、オノレの足もありますね)!
ヴェネツィアは陸の部分は狭いので、普通の観光であれば、オノレの足だけでじゅうぶんです。
それでも、スーツケースを持っての移動だったり、非効率的な移動であってもとにかく運河を使ってみたかったりと、ヴェネツィアで船を利用するケースはあると思います。
このページでは、今までのページと重なる情報もあるとは思いますが、ヴェネツィアの特殊な交通事情をまとめてみました。
ヴァポレット(水上バス)
別名「水上バス」と呼ばれるヴァポレット。
運河に設けられた停留所で乗り降りする、まさに文字通り、運河でバスの働きをする交通機関です。
ヴァポレットについては、別ページで詳細に解説していますので、下記のリンクから参照下さいませ。
水上タクシー
ヴェネツィアでは、水上バス(ヴァポレット)も運河を走っていますが、水上タクシーも走っています。
水上タクシーはイタリア語で「Motoscafo(モトスカフォ)」(複数形だと「Motoscafi」)。または「Taxi Acquei(タッシィ・アックエイ)」とも呼ばれます。
ヴァポレットと違い、タクシーなので、好きな船着き場で降りることができます。
ヴァポレットとの違いは他にもいくつかあります。
まず、モーターボートなので速いです。運河をさっそうと走り抜けている船の多くは、この水上タクシーです。
また、コンパクトなので、カナル・グランデ(大運河)だけではなく、狭い小さな運河にも入ることができます。
小運河沿いのホテルにも、この水上タクシーを使えば、近くまで行くことができます。
このさっそうと大運河を駆け抜ける水上タクシーは、カッコいいので、私は使ってみたいのですが、何せ、高いっ!ヴァポレットなんぞ問題にならないくらい高いっ!
ヴェネツィア市街からサンタ・ルチア駅までが€60~80くらい、空港までは€100以上です。うん、水上タクシーが遠いです。
ちなみに、イタリアの陸を走るタクシーと同じように、水上タクシーにも無認可タクシーがいるらしいです。
必ず、正規のタクシー乗り場から乗るか、ホテルのフロントなどで手配してもらうようにしましょう。
ゴンドラ
ヴェネツィアと言えばゴンドラ。ヴェネツィア観光の代名詞のような存在です。
昔はヴェネツィア市民の足として使われていたゴンドラですが、現在は観光用で、移動手段として使われることはほとんどありません(移動のためのゴンドラについては後述します)。
いささかアトラクション的なイメージはありますが、それでも、観光客を乗せたゴンドラが運河を往く光景は、ヴェネツィアに華やかさを添えています。
ゴンドラを漕ぐのは、資格を持ったゴンドリエーリです。公定料金は、2019年現在で30分で€80。ゴンドラには6人まで乗れますが、人数とは関係なく、一艘分の値段で払います。
観光ゴンドラは「ぼったくり」に注意!
さて、この観光ゴンドラですが、実は、個人旅行者には非常にやっかいな代物です。
というのも、公定料金が守られず、「実際より高い金額をふっかけられる」「規定より短い時間で降ろされる」「一人いくらで請求される」など、観光客の不満が絶えないんですよね…。
公定料金があるのだから、公定のコースも決めてしまい、それ以上のコースへ行きたい場合は、交渉次第で料金を上乗せという制度にすれば済む話なのですが、このへんは、イタリア的。
交渉に長けたゴンドリエーレが、自分に有利な交渉を成立させられるように、何となくルールをグレーにしているような感もあります。
ちょっと悪い言い方をすれば、「観光客から巻き上げる」悪しき風習が残っているように思います。
とはいえ、ゴンドラに乗ると決めたなら、こういった狡猾なゴンドリエーレとの交渉も、「商人国家ヴェネツィアの真髄」と、プラスに捉えた方が面白いと思います。
交渉する際には、ヴェネツィア市の観光公式サイトに掲載されている公定料金のページを示すのも手です。(→VENEZIA UNICA 2段落目の「The cost of a 30 minute gondola ride is about €80.00」の部分)
偽物のゴンドラに乗ったという話はめったに聞きませんが、観光ゴンドラは、必ず正規のゴンドラ乗り場から乗るようにしましょう。
ため息橋の近く、Hotel Danieliの近くにあるゴンドラ乗り場が人気です(ため息橋の下をくぐるため)。
ゴンドリエーレさんとの交渉は気が進まない…という方は、オプショナルツアー(現地ツアー)を催行している旅行会社に、日本語でゴンドラ周遊を申し込んでおく方法もあります。
オプショナルツアーを申し込めるサイト MAPPLE Activity
トラゲット
やっと、私の大好きなトラゲットを紹介する番になりました!
先ほどちらっと触れましたが、ヴェネツィアには、今でも移動用として使われているゴンドラがあります。それがトラゲット(Traghetto)です。
カナル・グランデ(大運河)には、4つしか橋がかかっていません。カナル・グランデを横断したい時に、橋が近くになくて困ることもあります。
そんな時に利用するのがトラゲットです。つまり、トラゲットは、カナル・グランデの向こう岸に行くための渡し船です。
ゴンドラを使って移動するので、観光周遊ゴンドラに乗るほどではないけど、ゴンドラにちょっと乗ってみたい!という方には、ぜひおすすめです。
観光ゴンドラと違って、トラゲットのゴンドラは無骨です。飾りもなく、赤い絨毯も引かれてなく、ゴンドリエーレさんも、ボーダーの制服を着用してないこともあります。
ゴンドラが市民の足だった時代を、一番体感できる乗り物だと思います。
1回の乗船につき一人€2。降りるときにゴンドリエーレさんに直接渡します。
できればお釣りがないように用意しておいた方がスムーズだと思います。
所要時間は5分もかからないくらいの、あっという間の体験ですが、水面が近くに見え、なかなか楽しいです。
基本的には立ち乗りですが、それなりに揺れるので、乗客が少ない時は座っても大丈夫です。
ただし、2011年にヴェネツィアを旅行した時にくらべて、2019年にはトラゲット乗り場はかなり減っていました(2019年現在で5か所しかない)。
トラゲットはなくなっていく方向なのかなあ…。淋しい…。
VENEZIA UNICAで、トラゲット(gondola ferries)の乗り場と営業時間が確認できます。
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